7月3日、CPUとグラフィックス機能を搭載した、AMDのデスクトップ向けFusion APU「AMD A(コードネーム:Llano)」がアキバに登場した。価格は、2.9GHz動作の4コアCPUを搭載する「A8-3850」が1万4000円弱。2.6GHz動作の4コアCPUモデル「A6-3650」が1万2000円弱となる。
AMD AシリーズはPhenom II/Athlon IIを改良したCPUと、Radeon HD 5600シリーズをベースにしたグラフィックス機能を盛り込んでおり、CPU構成とGPU構成によってラインアップが分けられている。
今回登場した上位のA8-3850は、グラフィックスに600MHzで動作するHD 6550Dを採用しており、下位のA6-3650は443MHzのHD 6530Dを搭載。ともにTDPは100ワットとなる。内蔵グラフィックスはDirectX 11をサポートしており、「ミドルレンジクラスのパフォーマンスが期待できるみたいですね」(PC DIY SHOP FreeT)と、チップセットやCPUに統合するタイプのグラフィックスとしては抜きんでてハイレベルな仕様だ。そうした特性もあり、両モデルの初回パッケージには、3Dゲーム「DiRT3」のダウンロードクーポン券が付属する。
現時点での評判はショップによって分かれるものの、試用版などを稼働させた店員さんの多くが高く評価していたのが印象的だ。TSUKUMO eX.は「今までの統合グラフィックスと違って、DiRT3などの描画性能を求めるゲームでも普通に遊べてしまうのはすごいです。CPU自体は従来の延長線上にありますが、グラボなしでもかなりハイレベルなマシンが作れるのは魅力。これまでの『コストパフォーマンス重視』よりも数段上の性能が得られると思いますよ」とプッシュしていた。
ドスパラ パーツ館も「TDPが高めなのがネックですが、CPUとグラボの合計と考えると、かなりまともな範囲だと思います。mini ITX系でFusionがAtomやION以上に売れたように、通常サイズのデスクトップ系でも、ミドルからエントリーまでAMDが大幅に巻き返すかもしれません。まだ未知数ですが、期待はしていいでしょう」と話していた。
全体的に、従来のAMD製CPUの評価でみられた“斜に構えた”コメントは少なく、本気の期待ぶりがうかがえた。それでも「せっかくの新パッケージにゲームの資料を張り付けちゃうところが、やっぱり残念。確かに面白そうなパーツではありますが、ちゃんとアピールしないで埋もれちゃう未来もなきにしもあらずかも。まあ、見守りたいと思います」(某ショップ)といった声もあったが、はたしてどちらに転ぶか。今後の動向を追っていきたい。
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